面接で採用担当者は時に、筆記用具を手渡して「このペンを売ってください」と言うことがあります。営業の仕事を探している人にとって、この質問への対策は欠かせません。望ましい対応と残念な対応があり、面接官がこの質問をする場合、あなたの回答次第で勝負が決まります。
このブログではいくつかの対応例を探り、次のトピックを取り上げます。
- ペンを売ってほしいと言われた時にやってはいけないこと
- 回答の始め方、中間部分、終わり方の構成
- 「このペンを売ってください」への優れた回答例
「このペンを売ってください」への対応方法
面接官がひとつの質問で、あなたの個性やモチベーションをうかがい知る機会を得られるなら、なぜこの質問をするのでしょうか。信じられないかもしれませんが、「このペンを売ってください」は、思っているほど頭を悩ませるものではありません。以下のヒントに従えば、心を込めて自分の能力を売り込むことができ、企業側にあなたの実力を示す準備が整うはずです。
1. 回答を拒否しない
筆記用具を販売することが本業でないため、この質問に抵抗感があるかもしれません。「私はペンを売るのではなく、不動産を扱うのです」と言いたくなるでしょう。営業スキルの実演を求められ、気が進まないとスルーしたくなるかもしれません。
どちらも好ましくない対応です。面接官は理由があってこの 質問をするのですから、答える必要があります。あなたが商品を売り込むことに抵抗がないかを見極めたいのです。あなたのアプローチの仕方、そしてペンそのものと潜在購入者へ、どの程度焦点を当てているのかを見たいのです。
2. この質問が大好きであるかのように振る舞う
実際にはこのような質問は怖いかもしれませんが、前向きに取り組む姿勢こそが加点要素となります。営業の仕事であるなら、売り込むことが好きであるはずですから、自分の得意なことをできるという期待に目を輝かせるはずです。
不意打ちを食らったストレスから「ええっと」と大きく息をついたり、頭をかきむしる様子を見せているようでは、何かを売り込むことに消極的である印象を与えかねません。これは営業担当者を探している企業には、心強いものではありません。
質問を聞いた際には、自信を持って楽しげに前向きな態度で回答する準備をしておきましょう。
3. 顧客ニーズについて質問する
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のモデルであるジョーダン・ベルフォートに、この難題にどう答えるか聞いてみましょう。詐欺で22か月服役し、ペンを一本も売ったことがないと思われますが、営業能力は間違いなく長けています。以下は、ベルフォートがペンの売り込みを依頼された時の対応です。
ベルフォートは次のように述べています。
「『いつからペンを探していたのですか?... いつもペンを使うときは、どのような種類のペンを使いますか?』... 営業においてまず必要なことは、質問で相手のニーズを探ることだ。
世の中での最大の間違いは『これが世界一のペンです、逆さにしても書けます、重力にも逆らえますよ』といったことを言うこと。そうすると単なる馬鹿に見える...。
本当は必要としていない人に、ペンを売りつけたくはない。なので、まず最初に質問していく。そうでなければ、文字通りペンを相手の喉に詰め込んでいるようなものだ。」
これは顧客ニーズに焦点を当てているため、素晴らしいアドバイスと言えるでしょう。売り手の願望はペンを売ることですが、それは顧客にとって問題ではありません。
4. 質問から商品説明への展開を忘れない
ペンを売り込むにあたり、ある時点でペンを売らなければなりません。相手のニーズを十分に聞き取った後に、販売している商品の 説明へと移行していく必要があります。
ベルフォートがまさに強調しているように、最初からペンの説明を始めるべきではありません。しかし顧客のニーズや要望を理解すると、販売するペンの特徴についてもよく理解できるはずです。
なめらかで洗練された外観、インクカートリッジが交換できる点、軽量サイズ、インクの出やすさなどをアピールすることができます。繰り返しになりますが、これで主導権を握るのではなく、優れた特徴を説明する準備が必要です。
5. 無料の価値提供
売ろうとしているものを無料で提供しようとすることは、本末転倒と思えるかもしれませんが、実は優れたセールス手法の一つでもあります。理由は簡単、義務感なく試すことができるからです。サーティワンアイスクリームが試食サンプルを無料で配布するのも、同じ論理です。
セールスピッチの後半で、面接官に1週間ペンを試用してみてもいいと言ってみましょう。その1週間後に、ニーズに合っていたかどうか確認します。相手のニーズを満たし切れなかった場合は、別のペンを提供する準備がありますし、十分だった場合はセールスをクローズできます。
誰でも好むフレーズ「無料でお試し」のペンのセールスマンバージョンです。
6. 断られる可能性への対応
面接官が「ペンは必要ない」「欲しくない」「高すぎる」と否定的な態度で臨むこともありうるでしょう。
こうした反対意見への 適切な対処こそ、優れたセールス手法の要諦でもあります。人は必要なくとも欲しがる場合があるし、本当は必要なのにその自覚がないがために、欲しがらない場合もあるのです。価格体系についてもう少し詳しい情報があれば、買えると気づくかもしれません。
売っている商品は好ましいと感じつつも、デザインや色が気に入らないという人もいます。こうした需要に対応できるよう、異なるスタイルで似たようなオプションを提供できれば、非常に良いでしょう。
ただ交渉のすえに本当に商品を必要としない場合は、諦める覚悟も必要です。ただし、ペンが必要ない人が、欲しいと思う同僚へのリードの獲得を提供できる可能性もあるでしょう。
7. 可能であれば商談を成立させる
セールスピッチが特に悪くなく、ペンを実際に購入してくれそうな人が目の前にいる場合、商談成立という大事な一手を忘れてはなりません。「1週間後に連絡します」ではいけません。「今すぐ売買契約書に進んでいいですか?」と切り出しましょう。
または「このペンは贈り物にも最適だと思います。幹部スタッフへのプレゼントとしてこのペンを差し上げることはいかがでしょうか?」などとアドオンセールスにつなげる手もあります。
「このペンを売ってください」への望ましい回答例
「このペンを売ってください」という課題に対する望ましい回答例を以下に示します。
「どのくらいの頻度でペンを使いますか? 最近ペンを使ったのはいつですか? 毎日かなりの頻度でペンを使うのではありませんか?」
「青インクと黒インクではどちらががお好きですか? 緑や赤などもご用意しています。」
「安いペンは使いづらく、インクの流れも悪く文字も綺麗に書けず、いつインクがなくなるかも分からないと感じたことはありませんか?」
「手にした時に適度な重さがあり、インクの流れも良く、紙の上で綺麗に書ける高級感のあるペンを使ったことがありますか?」
「CEOや幹部といった方々が、非常に素晴らしいペンを使う傾向があることに気づいたことはありませんか?」
「何かを書く必要があり手持ちのペンを全部見たとき、どれも気に入らなかったことはありませんか?」
「このペンを売ってください」への残念な回答例
「このペンを売ってください」に対する、避けた方が良い回答例を以下にご紹介します。
「私はペンを売っていません。この演習に参加する気になれません。」
「これが史上最高の美しく機能的なペンです。素晴らしいデザインと革新的な機能を備えています。」
「安いボールペンを使うと、それなりの人として見えてしまいます。しかし、このペンならひと角の人として見られます。」
「このペンを売ってください」の面接の一例
面接官:このペンを売ってみてください。
あなた:ペンに何を求めていますか?
面接官: よくわからないですが、数本は持っています。
あなた: お持ちのペンが気に入っていますか? 大事なシーンで頼りになる一本はありますか?それは文字もキレイに書けて見た目もいいでしょうか?
面接官:うーん、ないですね。最初のが書けなくなった場合に備えて、数本持ち歩くときもあります。
あなた:ペンはどんなシーンで使いますか? 会議中メモを取ったり、電話のメモに使いますか?重要書類や契約書に署名することもありますか? 手紙や年賀状などに使うことはありますか?
面接官:全部あります。
あなた: 他人の前でペンを使う場合、見た目の印象は気になりますか? リッチな人が使うようなペンを使いたいですか、それとも何でもいいですか?
面接官: 見た目の良いペンは持っておくに越したことはないと思います。でも大事なのは実用性です。文字を書けなきゃ意味がありません。
あなた: そのとおりですね。高級なペンの良いところは、見た目も文字の書き味も最高なところです。 こちらは当社の新作モデルで、スターリングシルバーに金メッキを施しています。それほど重くなく、手に馴染みます。 机の上の紙にサインしてみてください。インクが出ないか試し書きしなくて大丈夫です。インクは確実に出ますから。
面接官: うん、かなりいいですね。
あなた: そして「高価」ではなく「価値がある」ものです。 このペンはお手頃に購入でき、どこにでも持ち運べます。 インク切れを心配することなく使える再充填式カートリッジを備えています。
面接官: そうですね、いつもは一晩考えてから購入を判断するようにしているんですよ。
あなた: じゃあこうしましょう。1週間このペンを使って試してみてください。毎日使ってみて、物足りなさを感じたら教えてください。 来週の火曜日にまた来ますので、お気に召さなければ引き取ります。気に入ったけど、他のオプションもご覧になりたい場合は、そちらもご用意します。1週間は全くの無料でお試しいただけます。
面接官: 断る理由がありませんね。
「このペンを売ってください」への自分なりの回答作成に向けて、ベストを尽くしてください。営業担当者にとって最大の武器は個性の力なのです。十二分に発揮しましょう。ユニークで面白く、ユーモアを交えて準備を整えましょう。
そして何より、そのペンを売りましょう!
重要ポイント
- 「このペンを売ってください」は営業面接の定番で、避けてはならない質問です。
- この質問を避けたいと言わないようにしてください。その代わり、前向きに熱意を込めて答えましょう。
- 売り込もうとする前に、顧客ニーズについて必ず質問してください。