自己紹介は、映画の最初のシーンやスポーツの試合のオープニングのようなものです。どのような導入をするかによって、観客はこれからどのような展開になるのか即座に判断します(仕事を得ようとするときには特に重要です)。
マルコム・グラッドウェルの著書 「第1感 『最初の2秒』の『なんとなく』が正しい」は、このような素早い思考と即断即決の心理を描写しています。効果的な自己紹介は、生産的な話につながります。初対面の人に会った瞬間、すぐさま無意識が反応を示し始める一方で、意識(理性)が追いつくのに十分な情報を得るまで、しばらく時間がかかることが書かれています。自己紹介で聞き手の理性的な心に多くの関連情報を与えることができれば、両者の心はより早く、効果的な第一印象だったことで一致できます。
自己紹介で留意すべきこと
自己紹介のセリフはほんの数行分しかないかもしれませんが、伝えたいことが無数にある場合、そのセリフは最初の数分間の会話の舵取りをする上で非常に重要です。
ここでは、効果的な自己紹介と成果が上がる始め方について、またその他の留意点をいくつかご紹介します。
自己紹介は聞き手に関連したものにする
自己紹介が的を射たものでないと、聞き手はそこで何をしているのかわからなくなります。あなたが話すべき相手かどうかを相手に疑問に思われないようにしましょう。事前にどのように始めるかを計画し、聞き手の興味を引きつけてあなたの世界に引き込むことが重要です。
肩書ではなく、何をしているかを言う
自己紹介では、職務経歴の肩書に書いたこと(または現職のポジション)は言わないでおきましょう。あなたの肩書は応募書類で知っているので、あなたがその会社で何ができるのか、またなぜそこにいるのかを伝えることが大切です。事実に基づいて、他の候補者との違いを際立たせるようにしましょう。
なぜこの仕事に応募したのか、相手の関心を引く事実を伝える
履歴書があなたという人が分かりやすく記載されているべきなのと同じように、自己紹介で話す内容にも魅力的な輝きを求めるべきです。あなたとの対話を通じて、ますます可能性が広がるような話し方を心がけましょう。相手の興味を引き、他の人とは異なる印象を与えることが大切です。
独創的で記憶に留めてもらう
普通の会話の冒頭では、記憶に残ることはそれほど重要ではないように思えるかもしれません。しかし、面接中にずっと記憶しておいてもらいたい事実があるのなら、冒頭のあいさつでそれを述べるべきです。それは、私はこんな人間であり、これが私が重要だと思うポイントです、ということです。
相手に対して繊細に、心をこめて
自己紹介の内容は重要です。相手が何を知りたがっているかに敏感になりましょう。面接の場合は、先方の企業文化を理解し、それに合わせて言葉遣いやエピソードを調整します。最初の言葉で失礼な印象を与えないように注意し、相手に心からの好印象を抱かせることが大切です。
自己紹介から次の対話へつなげる
あなたが誰で、なぜそこにいるのかを話したら、自己紹介の最後の部分で「さて、私たちはここで何を話し合おうとしているのか」という部分につなげていきます。この自己紹介により、面接官との対話がスムーズに展開して、面接での対話の流れが出来てきます。
面接での自己紹介の方法
どんな面接でもストレスでいっぱいになる場であるため、十分に練られて意義のある自己紹介は、緊張を和らげ、場を盛り上げるのに役立ちます。面接は「あなた自身について教えてください。」という自由回答から始まることが往々にしてあります。
採用担当者: 「では、あなた自身について教えてください」 (もちろん、先方はあなたの名前を知っています)
候補者:「本日はよろしくお願いいたします。私は機械工として長年従事しており、クラシックカーに夢中です。また、希少モデルの中でも非常にダメージのあるモデルを長持ちさせるコツを心得ています。特にスポーツカーに興味があり、日本スーパーカー協会のメンバーでもあります。私はこれまでのキャリアで3,000台以上を修理してきました。私の顧客名簿は業界の羨望の的と言えるかもしれません。」
Eメールで自己紹介する方法
Eメールでの自己紹介は、実際に耳で聞く通常の自己紹介よりも内容が少し長くなることがあります。履歴書やカバーレターを開いてもらいたいのであれば、そうさせる説得力のある理由を伝えましょう。
野村様
私は昨年、貴社の3つの主力商品から市場シェアの25%を奪うことに尽力したブランド・マネージャーです。以前に勤めていた会社とは戦略的な方向性が異なるので、私は変化の時だと感じました。
私の考案したブランドのイニシアチブは5,600万円の利益成長(前年比22%増)をもたらし、私が担当した2つの製品キャンペーンは多くの業界賞を受賞しました。貴社は今、事業のクリエイティブな見直しに着手しようとしていると伺いました。私こそが変革を推進し、顧客とのつながりを取り戻すお手伝いができる人材だと確信しています。
採用担当者に自己紹介する方法
採用担当者への自己紹介は、電話で行われることがほとんどです。採用担当者は、なぜあなたがその職務に適しているのか、その理由を知りたがります。自己紹介でその職務に対する熱意を伝えなければ、採用担当者はあなたがその職務に就きたいと十分に考えていないかもしれません。
(電話での会話)
おはようございます、私は松村潔志と申します。貴社のウェブサイトに掲載されていたストアマネージャーの仕事に興味があります。私は過去7年間、コンビニエンスストアのマネージャーとして、主にビジネス街の中心地で、3~6,000SKU規模の店舗を運営してきました。これまで2つの小売企業で新規出店プロジェクトを数多く手掛けてきており、今般の新規参入企業での職務は理想的だと感じています。もし私の経歴にご興味をお持ちいただけましたら、履歴書をお送りさせていただきます。
重要ポイント
- プロとしての自己紹介は対話の始まりに過ぎません。
- 自己紹介は状況やあなたが企業にもたらす価値によって異なります。
- 聞き手に自分の仕事を伝えます。そこに関連性と興味を持たせましょう。
- あなたの「なぜ」を共有します-なぜあなたと話す価値があるのかを伝えましょう。
- 緊張を飲み込み、簡潔に話し、相手の答えを聞くために間を取りましょう。
- 自己紹介の最後に対話が始まるようにします。
- 履歴書と同じように、自己紹介も個性があふれるものでなければなりません。